KOTARO NUKAGA ROPPONGI
10以上のギャラリーが入居する六本木のピラミデビルに計画されたKOTARO NUKAGAは、天王洲にも拠点を置く現代アートを扱うギャラリーである。
同じビル内に様々なギャラリーが隣接するなかで、今回のこの場所が埋もれずに、しっかりと認識される空間として計画する必要があった。
しかし、ギャラリー空間は、基本的な機能として作品の背景となるよう、ニュートラルな空間を求められることが多く違いが出ずらい。かといって、安易に特殊な要素を付加したり、建築的なコンセプトで空間を語ってしまうことには、空間自体が作品化してしまうため強い警戒があった。
そこで、与件を探り、それに対する答えを積み上げていくことで、そのギャラリーらしさが発見されるのではないかと思った。
与件の一つに、KOTARO NUKAGAは大型の平面作品を扱うことが多く、その作品の上下に余白を持たせた方が理想的という話になったが、元々ギャラリーとして計画されていないピラミデビルは基準の天井高さ2600mm。それより上の空間には、他の区画からも設備が入り込んでいたり、天井が下がっていたりしていて、天井躯体を表しにするのは難儀に思えた。実際、他のギャラリーを見ても天井躯体を表しているところはほぼなかった。あっても取り合いが難しいところは隠蔽されていた。
天井躯体を表しにできれば、他にはない高さを獲得できる。また、他のギャラリーを巡るシークエンスの中で、相対的にも開放感を感じ得る空間となる。もちろん作品の背景としても適していると考え、天井躯体を表しにできるような平面配置計画と天井設備計画を行なった。
立面的にも展示空間の入隅は全て視線が抜けるようにスリットを用意することで、外に開いた。
本来であれば、街の中のギャラリーとしては、世界観を作るため日常空間と線引きした空間を作るべきとも思ったが、ピラミデビル自体を一つのギャラリーと捉えて、そこを巡る中の一室であることを考えると、見る側の意識は切り替わっており、それもあって成立しているようにも思う。
名称 | KOTARO NUKAGA 六本木 |
施主 | 株式会社ぬかが |
場所 | 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F |
用途 | ギャラリー |
設計 | ya |
施工 | TANK |
協力 | ERCO、DNライティング、modulex(照明計画) |
床面積 | 112.48m² |
完成年 | 2021.05 |
写真 | 長谷川健太 |
Title | KOTARO NUKAGA ROPPONGI |
Client | Nukaga Co., Ltd. |
Location | Roppongi, Tokyo |
Usage | Gallery |
Design | ya |
Constr. | TANK |
Collab | ERCO, DNlighting, modulex(Light) |
Area | 112.48m² |
Date | May 2021 |
Photo | Kenta Hasegawa |