NUMBER SUGAR Marunouchi
若い夫婦が表参道で始めたキャラメル屋で、着色料や香料などは一切使わず、自然素材の味や色を活かして作られたキャラメルを製造販売している。
キャラメルは数字が印字された白い紙に包まれていて、キャラメル本来が持つきれいな色を、包み紙で隠すことは惜しいと思いつつも、その数字は味を示す数字であり、時には誰かの好きな数字でもある。数字があることで選ぶ楽しさが生まれていた。創業初期の表参道店では厨房併設の店内でキャラメルを手作りで作っていたが、後に千駄ヶ谷に工場兼店舗を設けた後、今回の丸の内に物販専門店として出店することとなった。
NUMBER SUGARの店舗空間は、商品に入った数字と同じく、選ぶ楽しさを経験できる空間として計画しなければならないと考えた。
また、包まれたキャラメルへの期待感を与えられる空間であることも必要だと思った。それは、今までの厨房併設店では店内でキャラメルを製造していたため、包み紙の中身を感じながら購買経験ができたが、今回のように物販専門店となると白い箱のお店になってしまうからだ。
店舗が面する丸の内仲通りのスケールは、小さなキャラメルには広すぎた。街とキャラメルのスケールをつなげることも必要だった。
今回計画したのは、樹木本来の色を活かしてつくられた什器群である。商品のキャラメルが自然素材そのままの色であることから着想して樹種の選定をしていった。色鮮やかな大きな什器は、大通りを行き交う人々を惹き付け、街とキャラメルのスケールをつなぐ役割を担い、人々を店内へと導いてくれる。
店内では、商品を見ながら什器を巡る中で、商品の背景になる什器の色が変わり、商品を探し回る楽しさにつながっている。また、一つの空間に多様な色が同居していることは、包み紙の中にあるキャラメルの色への期待にもつながり、それもまた選ぶ楽しさを生んだ。
什器以外では落ち着いて選べる工夫を施した。陳列エリアと会計エリアの床材と壁材を変え、一線引いた配置計画することで客と店員との距離感を保った。
ポップは商品への意識を邪魔しないように、商品と什器それぞれの特徴を採り入れて、主張し過ぎないデザインとした。
一見すると、商品より目立とうとする店舗のように見えるが、商品の魅力をサポートすることを考えた中で生まれた店舗である。
名称 | NUMBER SUGAR Marunouchi |
施主 | ナンバーシュガー |
場所 | 東京都千代田区丸の内 |
用途 | 物販店 |
設計 | ya |
施工 | 中重工務店 |
協力 | O.F.C(什器) KOJI FUKUNAGA(グラフィック) |
床面積 | 57.29m² |
完成年 | 2020.03 |
写真 | 長谷川健太 |
Title | NUMBER SUGAR Marunouchi |
Client | NUMBER SUGAR |
Location | Marunouchi, Tokyo |
Usage | Shop |
Design | ya |
Constr. | Nakashige |
Collab | O.F.C(Furniture) KOJI FUKUNAGA(Graphic design) |
Area | 57.29m² |
Date | March 2020 |
Photo | Kenta Hasegawa |